アクアリウムの世界で絶大な人気を誇るベタ。その原点である「ワイルドベタ(野生種)」をご存知でしょうか?タイの豊かな自然の中で独自の進化を遂げた彼らは、改良品種にはない力強い美しさと、興味深い生態を持っています。
本記事では、タイ漁業局の公式資料に基づき、ワイルドベタの分類や文化的背景、そして飼育の第一歩となる「繁殖形態による違い」を徹底解説します。
1. タイの文化とワイルドベタ
タイにおいてワイルドベタ(現地名:プラーガッド・パー)は、単なる観賞魚を超えた「文化遺産」として大切にされています。
古くから自然の沼や水路に生息しており、その美しい色彩や闘争本能は、タイの人々を魅了してきました。現在では、生息地の保護だけでなく、種を絶やさないための繁殖活動も盛んに行われています。
2. ワイルドベタの科学的分類
ベタは学術的に「スズキ目キノボリウオ亜目オスフロネムス科」に属しています。タイ漁業局が採用しているネルソン(1984)の分類体系は以下の通りです。
| 分類階級 | 学名・名称 |
|---|---|
| 綱 (Class) | 条鰭綱 (Actinopterygii) |
| 目 (Order) | スズキ目 (Perciformes) |
| 亜目 (Suborder) | キノボリウオ亜目 (Anabantoidei) |
| 科 (Family) | オスフロネムス科 (Osphronemidae) |
| 亜科 (Subfamily) | ゴクラクギョ亜科 (Macropodinae) |
| 属 (Genus) | ベタ属 (Betta) |
3. 繁殖スタイルで分かれる2つのグループ
タイ産のベタは大きく分けて2つのグループ、計11種が報告されています。
① 泡巣を作るグループ (Bubble-nest builders)
水面に空気と粘液を混ぜた泡の巣を作り、そこで卵を孵化させるグループです。主に流れの穏やかな止水域に生息しています。
- ベタ・スプレンデンス (B. splendens)
- ベタ・スマラグディナ (B. smaragdina)
- ベタ・インベリス (B. imbellis)
- ベタ・マハチャイエンシス (B. mahachaiensis)
- ベタ・サイアモリエナリス (B. siamorientalis)
② 口内保育を行うグループ (Mouth brooders)
親魚が卵を口の中に入れて、孵化するまで守り続けるグループです。
- ベタ・プリマ (B. prima)
- ベタ・シンプレックス (B. simplex)
- ベタ・ピィ (B. pi)
- ベタ・パルリダ (B. pallida)
次回予告
第2回では、ワイルドベタをより深く理解するために欠かせない「身体各部の名称と、種類を見分けるための特徴」を詳しく解説します。
参考文献
- 「มาตรฐานสายพันธุ์และเกณฑ์การตัดสินปลากัดป่าในประเทศไทย」タイ漁業局発行(2016年9月)