ワイルドベタの魅力は、派手な改良品種とは異なる「野生の機能美」にあります。しかし、いざ個体を選ぼうとすると「どこを見ればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
第2回となる今回は、タイ漁業局の公式基準に基づき、ワイルドベタの身体各部の名称と、その種類や美しさを見分けるためのポイントを詳しく解説します。
1. 各部位の名称:ベタの機能美を知る
ベタの身体は、厳しい自然環境で生き抜くための独特な構造をしています。まずは基本となる各ヒレの名称を押さえましょう。
- 背ビレ (Dorsal Fin): 身体のバランスを保ちます。ワイルドベタでは、種類によって形や模様が大きく異なります。
- 尾ビレ (Caudal Fin): 推進力を生む最も目立つヒレ。ワイルド種は「スペード型」や「ラウンド型(丸型)」が基本です。
- 尻ビレ (Anal Fin): お腹から尾の付け根まで続く長いヒレ。威嚇(フレアリング)の際、大きく広がることで身体を大きく見せます。
- 腹ビレ (Pelvic Fin): 腹部の下に垂れ下がる一対のヒレ。先端が白くなる個体が多く、動きのアクセントになります。
- 胸ビレ (Pectoral Fin): 左右にパタパタと動かして細かく位置を調整するヒレ。
2. 鱗の輝き(イリデッセンス)と模様
ワイルドベタの最大の「見どころ」は、鱗の輝きです。これを「イリデッセンス(構造色)」と呼び、光の当たり方でグリーンやブルーに変化します。
種類ごとの鱗の特徴
公式基準では、特に以下の種における鱗の並びが重視されます。
- ベタ・スマラグディナ: 鱗が網目状に並び、まるで蜘蛛の巣やギターの弦のように見える「ギター模様」が特徴です。
- ベタ・マハチャイエンシス: 鱗の一枚一枚がトウモロコシの粒のように美しく並び、メタリックな輝きが身体全体を覆います。
3. 「美しい個体」を見極める3つのポイント
タイのコンテスト基準から、私たちがショップで個体を選ぶ際に参考にできるポイントを3つ紹介します。
① ヒレの広がりとバランス
フレアリング(威嚇)をした際、背ビレ・尾ビレ・尻ビレが隙間なく重なり合い、美しい円形に近いシルエットを描く個体は非常に質が高いとされます。
② 身体のライン(体型)
頭部から背中にかけてのラインがスムーズで、極端な凹みや曲がりがないこと。野生種らしい、力強くスリムな流線型が理想です。
③ 色彩のコントラスト
例えば「ベタ・インベリス」であれば、尾ビレの縁に入る鮮やかな赤い三日月模様が、地色のダークカラーとどれだけはっきり対比しているかが重要です。
4. 行動に現れる「健全さ」
ワイルドベタの評価には、外見だけでなく「性格」も含まれます。
- 鏡を見せた時にすぐに反応してヒレを広げる(フレアリングする)か?
- 力強く、バランスの取れた泳ぎ方をしているか?
これらは、その個体が健康で、繁殖にも適していることを示す重要なサインです。
次回予告
第3回では、いよいよタイ各地に生息する**「5大系統のワイルドベタ」**を地域別に深掘りします。それぞれの生息環境の違いが、どのようにその姿形に影響を与えているのか。マニアックな世界へご案内します。
参考文献
- 「มาตรฐานสายพันธุ์และเกณฑ์การตัดสินปลากัดป่าในประเทศไทย」タイ漁業局発行